近江温泉病院(以下、当院)では、2012年より脳血管疾患の方を中心にドライビングシミュレーターでの評価・訓練と自動車運転教習所(以下、教習所)での実車評価を活用した自動車運転再開支援(以下、運転支援)を実施しています。
当初より作業療法士を中心に運転支援チームを結成し、2025年までに約350件を超える運転支援を行ってきました。
2014年の道路交通法改正以後は、運転支援オーバービューの介入プロセスを構築し取り組んでいる。
そして入院・外来での支援過程の中で教習所と連携して、情報も共有することで、実車走行を通した運転技能を評価する仕組みを取り入れています。
そして不適切なエピソードがあれば、そのエピソードを聞き取り、フィードバックのもと改めて神経心理学的検査やドライビングシミュレーターの結果と関連づけ、リスクコミュニケーションを図り指導し考える機会を作っています。
対象者の運転支援は、2014年以降たびたび改正された道路交通法を説明し、理解を得て丁寧にリハビリテーションを行い、運転再開そして、作業の再開(活動・参加)へつなぐ仕組みの標準化が重要と考えと考え、様々な取り組みを図っています。
ドライビングシュミレーターを
主体にした院内支援と教習所との連携
当院で活用しているDSは、適性検査と市街地コース走行(危険予測体験・総合学習・ロングドライブ等)、様々な運転操作課題の評価・訓練機能を有する本田技研工業株式会社製、セーフティナビ(3画面)である。
このDSにて運転技能の評価・訓練をすすめています。
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実車評価へ進める目途が立ち次第、教習所へ日程調整を依頼し、その日程を念頭に評価・訓練を進めます。
その過程の中で対象者の課題に焦点をあてた実車での評価が可能となっています。
教習所からは、実車評価後に実車報告書と実車データが提供されています。
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担当作業療法士は、当院の運転支援研修プロセスを終了したスタッフが担当するが、経過を常に運転支援プロジェクトチームに報告・相談のもと連携時期の判断を行っています。
なお、当院では原則として研修期間を除き、作業療法士が対象者に同行し教習所へ行くことはありませんが、課題により必要性があれば同行も検討されています。
学会発表
- 第19回滋賀県作業療法学会 2024
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- 早期から運転再開を意識した介入により、退院直後より望む作業の再開の実現へ
- 第18回滋賀県作業療法学会 2023
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- 早期の教習所との連携により独居生活を実現できた事例
- 第43回近畿作業療法学会 2023
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- 回リハ・外来にて危険認識を高めることに焦点を当て、運転支援を行ったことで障害の認識は予測的認識へと至り、自動車運転再開できた事例について
- 第8回日本安全運転医療学会 2023
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- 当院の自動車運転支援について
~支援者研修システムの紹介~
- 当院の自動車運転支援の流れ
~近江温泉病院・運転支援オーバービューパスを活用した介入~
- 第7回日本安全運転医療学会 2022
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- 自動車運転中止者における運転支援の再考
~後追い調査アンケートより考察したこと~
- 介護保険における短時間通所リハビリテーションでの自動車運転再開支援の2症例の経験
- 第6回日本安全運転医療学会 2021
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- 半盲を呈した患者への自動車運転支援について(第二報)
~回復期リハビリテーション病棟から外来リハビリにて継続した支援を実施した症例~
- 第5回日本安全運転医療学会 2020
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- 半盲を呈した患者への自動車運転支援について
~運転再開困難な2症例からの経験~
- 第4回日本安全運転医療学会 2019
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- 自動車運転支援における運転再開者と運転中止者の違い
~後追い調査アンケート,運転支援結果からの考察~
- ドライビングシミュレータでの長期間訓練実施による介入前後における運転能力比較と検討
- 視線計測器を使用した健常者・患者の視線変化の違い
~Trail making test実施中の視線変化に着目して~